自由で学際的なカリキュラム
本研究科は、アメリカ研究、現代アジア研究、グローバル社会研究の3つのクラスターから構成されていますが、カリキュラムは所属クラスターを超えて自由かつ横断的にデザインすることができます。「グローバル・スタディーズ入門」や「理論と方法」などの必修科目では、現代の地球規模の課題について、研究分野の基礎知識や方法論を学びます。選択科目では、地域やイシューをめぐる多様で学際的な授業が提供されています。開講科目の約半数が英語で行われていることも、国際主義を掲げるGS研究科の大きな特色です。
必修科目と選択科目のシンプルな2層構造
博士前期課程の修了要件は「必修科目」14単位+「選択科目」16単位以上の取得(=合計30単位以上)、そして学位論文(修士論文)を提出し、口述審査に合格することです。ただし、修士論文の代わりに課題研究論文の提出を希望する場合は、「選択科目」を24単位以上取得する必要があります。
学位取得までの流れ
地域とイシューを組み合わせた7つの科目群
科目群A) アメリカ研究
アメリカ合衆国は、一世紀以上にわたりグローバル社会において大きな役割を果たしてきました。また、政治、経済、文化などにおいて、日本と複雑かつ多様な関係をもっています。アメリカ研究の科目群は、グローバルな視点からアメリカ合衆国を研究することを目的としています。歴史学、人類学、宗教、文化、政治思想、アフリカン・ディアスポラ研究、平和研究、ジェンダー・クイア研究、メディア研究と多岐にわたる専門分野の教員の丁寧な指導や講義を通して、アメリカを形作ってきた歴史、文化、思想、そして様々に交差するトランスナショナルな交流についての理解を深めます。
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科目群B) アジア研究
アジアにおいては国家の枠組みは自明ではありません。帝国、植民地主義、冷戦の中にあって、国家の枠組みを超えた大きな力により、多くの分断と暴力の痕跡が刻まれ続けています。と同時に、人々は古くから交流と交易を続け、さらには思想や文化も境界を越えていきました。アジア研究の科目群では、ある地域や国に注目し、歴史や文化、さらには現在生じている諸問題を考えることが出発点ですが、重要なのは、摩擦と軋轢のなかにあっても人々は集い、そこかしこで新たな関係性を作り上げてきたことです。この集いの場を凝視する事こそが、学びにおいて大切です。
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科目群C) ジェンダー・セクシュアリティ研究
ジェンダーとセクシュアリティは、個人のアイデンティティ構築において中心的な役割を果たすだけでなく、コミュニティやアクティヴィズムといった集合的な面でも重要な意味をもっています。ジェンダーやセクシュアリティを分析の軸にすることによって、日常生活に埋め込まれた社会関係や文化的経験を異なる視点から問い直すことが可能となります。本科目群では、フェミニズムやクィア理論を土台に、政治、思想、教育、平和運動、労働、視覚表象といったさまざまなテーマを取り上げ、学際的で領域横断的な研究・教育を推進し、複合的でグローバルな視座からジェンダーとセクシュアリティの問題を考えます。
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科目群D) 移民・難民・多文化共生論
いま、世界には6500万人に達する難民の人びとがいます。内戦が続くシリア、リビア、イエメン、ソマリア等、中東・アフリカ諸国、そしてミャンマーから逃れるロヒンギャの人びと。世界の各地で紛争や国家の崩壊によって発生する難民はかつてない規模に達しています。他方、受け入れる側の欧米諸国では、「彼らは難民ではなく、不法移民だ」と主張するポピュリストが台頭し、差別と排除が公然と語られるようになりました。しかし、人の移動は否応なく国境を越え、グローバル化が進んでいるなかで、異質な存在を排除し、同質的な社会を実現することは不可能です。ならば、どうやって共生を図るのか? この問いに向き合うことは、グローバル社会の根源的な課題です。
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科目群E) グローバル市民社会の課題
市民社会の科目群は、地域的な視点にこだわらず、女性、貧困者、農民、マイノリティーあるいは反原発を主張する人々などが自分の権利を主張したり、また自分の地位を守ったりするため運動を起こす、市民社会に焦点をあてています。いわばそれは、グローバル時代において社会運動論を学ぶことであるともいえます。方法としては、理論的な観点からだけではなく、映画や市民運動の観点から社会をとらえ、そこから資本主義的な世界の構造的な暴力や民主主義の光と陰を同時に考察します。また、毎日のように世界で起きている一般の人々の運動の力と限界を把握することも目指しています。
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科目群F) 国際協力・国際開発
グローバル化の進展は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)がどのように実施されているかという面によく表れています。SDGsは、国連の機関や世界銀行やOECDの開発援助委員会などが、さまざまな枠組みを活用して実施されています。従来は政府開発援助を通じて先進国から途上国へと支援の形で国連ミレニアム開発目標(MDGs)が実施されていました。現在は、中国やブラジルなどの新興国も重要な開発支援のアクターとなっていると同時に、多国籍企業や国際NGOやローカルNGOも重要な役割を果たして、国際協力が実施されています。この科目群では、国連や世銀の役割の変化、気候変動がグローバル社会にもたらす課題などについて光を当てます。
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科目群G) 人文社会科学方法論
GS研究科の大きな特徴の一つは、同時代の地球規模の課題に学際的観点から取り組んでいく点にあります。したがって、まず何らかのイシューを選択し、リサーチ・クエスチョンを立てることが探求の出発点となりますが、いざ自分の仮説を論証したり、データで裏付けていく段になると、研究テーマに即した固有のアプローチが必要となってきます。その多様な方法論を提供するのが、この科目群の役割です。具体的には、フィールドワークや社会調査の方法、統計学やアカデミック・ライティングなど、人文・社会科学の多様な方法論を講じる科目が設置されています。
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