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研究科長のメッセージ

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秋林 こずえ 研究科長

 大戦を経て、また各地で武力紛争が起こっていた20世紀から21世紀になり、平和な世紀にするための努力が続けられていた2020年、コロナ・パンデミックは私たちに新たな課題を突きつけました。多くの国境がウィルスを防ぐために封鎖されましたが、それでもウィルスは人の移動とともに必然的にグローバルなパンデミックを引き起こしました。何が私たちの命を、安全を守るのか。人と人とのつながりをこれからどのように考えていくのか。グローバル社会のあり方はどのようなものなのか。これまでも考えられてきたことですが、違う視点が必要であることを多くの人々が痛感したのではないでしょうか。

 同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科は2010年に発足し、社会科学と人文科学を専門とする教員が分野横断的に、現在のグローバル社会が直面している様々な問題の解明と解決に取り組むための専門知識とは何かを探求してきました。社会学、歴史学、地域研究、政治学、経済学、国際関係論、クィア・スタディーズ、教育学など教員のディシプリンは多岐に亘り、それぞれがフィールドとする地域もグローバルに展開しています。グローバル社会で活躍したいという学生の皆さんの将来の夢を実現するために、そして平和な社会を創るための研究や活動を進めるための皆さんの努力を、私たちは全面的にサポートします。グローバル・スタディーズ研究科で、同志社大学とグローバル・スタディーズ研究科が提供するリソースを思う存分、活用してほしいと思います。

グローバルな視点でつながる

 グローバル・スタディーズ研究科の特徴の一つは、もちろん、グローバル社会の課題や問題に取り組む研究です。それは既存の学問研究分野を超えて、また専門に研究する地域を超えて研究者がつながっているということです。グローバルに繋がらなければ、私たちが住む地球の将来もないといっても過言ではないでしょう。

 例えば気候変動。日々、目にするようになった世界各地での大小の異常気象は、気候変動――あるいは気候危機とさえ呼べるかもしれませんが――は二酸化炭素の放出や温暖化によって引き起こされています。どこかの地域でのエネルギー政策や経済活動が他の地域に住む人々にも明らかに影響を与えています。

 そしてその気候変動の影響も、住んでいる地域やその地域の政策、資源へのアクセスなどによって、その深刻さに違いがあります。それには性別やジェンダー、性的指向なども関係してきます。このようなグローバルな格差と身近な格差との関連にも目を向けてほしいと思います。

コミュニケーションとは何か

 グローバルにも、自分の住む地域社会でも、また研究科の中でも、様々なレベルでコミュニケーションは重要です。多様な言語について学ぶだけでなく、その言語の背景となる文化や、多言語でのコミュニケーションとは何か、などについても学んでほしいと思います。それは、発出される言葉だけでなく、発出されない/できない、あるいは聞き取られない言葉についても考察することを意味します。

 コミュニケーションは多様な価値観との出会いでもあります。グローバル・スタディーズ研究科には多様なバックグラウンドを持った教員や学生が集まっています。学生の皆さんが研究を進める上でなぜコミュニケーションが大切なのか、どのようにコミュニケーションをとるのか、毎日の経験から学ぶことができるでしょう。

 グローバル・スタディーズ研究科では、学生の皆さんにも国内だけでなく海外でのフィールドワークや研究発表、研究交流を支援する体制を整えています。ぜひ挑戦してみて下さい。

批判的に考える

 批判的-criticalの語源は古代ギリシア語のkritikosで、判断するという意味があります。アテネの市民にとってcriticalである相手は時の支配者たちでした。支配者たちの政策を検証し、それについて議論し、判断を下すことがcriticalであることでした。現代に生きる私たちは、あふれる情報や生成AIによる情報に対してcriticalでなければなりません。研究を進めるために多様な情報を取集する必要がありますが、さらにそれらをcriticalに分析する能力を習得してほしいと思います。

 批判的に考えることは、「当たり前」を疑ってみることでもあります。多様な価値観との出会いによって、それまで「当たり前」だと思っていたこと、つまり自分の価値観とそれを形成する背景の省察を迫られるかもしれません。例えば、ジェンダー(文化的・社会的に構築された、性別によるあり方やそれをめぐる知)という概念は、普段の生活の中での「当たり前」が「当たり前」ではないと私たちに考えさせます。さらにそれが権力構造を作ることを明らかにします。批判的な考察は、研究を進める上で必須です。

  研究を深めていくとは、自分の価値観や思考を揺さぶられる経験の連続かもしれません。資料や書籍を読み込んでいく作業は孤独であるかもしれません。しかし、グローバルな課題の探求という志を、教員や大学スタッフ、学生の仲間と共有できる場所がグローバル・スタディーズ研究科です。グローバル・スタディーズ研究科で、グローバル社会で活躍するための基礎を築いて、世界に羽ばたいていってほしいと思います。

研究科長 秋林 こずえ

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