教員一覧
グローバル社会研究クラスター
氏名 |
中西 久枝(ナカニシ ヒサエ) 博士後期課程教授 研究者データベース(オリジナルサイト) |
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研究室 |
志高館284 E-mail: hinakani@mail.doshisha.ac.jp |
研究指導課程 | 博士前期課程・博士後期課程 |
研究分野
中東現代政治
イスラームとジェンダー
平和構築
プロフィール
ウルドゥー語(パキスタンの国語)、ペルシャ語を勉強し、インド・パキスタン地域研究、イランを中心とした中東の国際政治を勉強してから、米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)博士課程で、中東の現代史を専攻しました。イスラーム世界の女性を取り巻く社会環境と国際政治の関係を、ムスリム女性のヴェール問題、イスラーム法解釈とジェンダーという視点から研究してきました。また、中東における紛争防止に関する研究を手掛け、米国の対中東政策の変化と対イラン関係、イランにおけるアフガン難民の実態、パレスチナの分離壁の人道的インパクトなどについて、現地調査をしてきました。
学生へのメッセージ
世界は刻々と変化しています。きのうまで何事もなかったような社会で突然紛争がおこったり、絶対的に強くて普遍的な通貨だとされていたドルが弱くなったり、地球温暖化が予想以上に急ピッチで進んでいたり、私たちを取り巻く世界情勢はめまぐるしく変わっています。また、ギリシャの財政破綻のように、ひとつの国家で起こった事件や出来事が、いかに世界経済全体に大きく影響するかということにも驚かされることが多いでしょう。
グローバル化が進む今、地球市民のまなざしで考えなければならない課題はたくさんあります。貧困やジェンダー格差をどう緩和していくのか、グローバルな人の移動によっておこる異なる文化や価値観をもった人々がどう共生していくのか、紛争・戦争や自然災害によって生活の手段を失った人々を国際社会がどう支援していくのか、などもそうです。こうした問題は、一見私たちの日常生活とはかけ離れたところでおこっているように見えます。でも、本当にそうでしょうか。
少子・高齢化が進む日本にも、いろいろな問題があります。今後どのような産業を育成して、沈滞しつつある経済を立て直すのか、日本の中でおこっている貧富の格差はどう解決していくのか、日本は国際貢献として紛争地域に自衛隊を派遣していくべきなのか、などがそうです。人、モノ、金の流れがグローバルに展開する現在、これらの課題は、日本の国内問題ではありません。世界の動向のなかで、日本はどのような政治・経済を運営していくのかが、問われています。
日々変わりゆく世界のなかで、自分の将来をどう描くのか、自分が生きていく上で何が大事だと考えて人生設計するのかは、本当にむずかしい問題です。たとえば、みなさんは、100円のチョコレートを100円ショップで買うのか、150円でもフェアトレードショップで買うことによって、少なくとも「私は児童労働に荷担しない」という信念を重視するのか、どちらを選ぶのでしょうか。時と場合によっても、何を選ぶのかは変わってくるでしょう。でも、どちらを選ぼうと、そこには価値判断が必要になります。私たちの目を世界に開いていくことは、自分とはどんな人間かを再発見することでもあります。
私のゼミでは、紛争や戦争がなぜおこるか、紛争が終わった社会はどう立て直せばよいか、紛争や戦争を予防するにはどのような政策が必要なのか、などについて一緒に考えます。それから、イスラーム社会の女性の社会進出について、さまざまな事例を学びながら、欧米型のフェミニズムとは異なる社会・文化価値について勉強します。好奇心の旺盛なみなさん、楽しく語り合いましょう。
The world is changing. Ten years ago, we could not believe the age is coming when the US dollar gets so weak as today and will be continuously so. Unexpected conflicts and natural disasters often happen these days. Climate change seems to have been more dramatically happening more than many of us believed. One small incident that used to be domestic has now given much impact globally. Greek financial shock is one of the examples. There are many challenges the globalized world has faced today. How to mitigate poverty and gender disparity, how to construct societies in which people from different backgrounds can live together, and how international society can provide assistance to post-conflict societies are among the challenges. These problems seem to be so far away from our daily. Yet, is that the case really?
Japan, too has many problems, as Japan has faced a declining population with the increasing population of the elderly. What kind of new industries can Japan create to develop more economically? How can we alleviate the gap between the rich and the poor that is getting bigger and bigger? What rational can we provide for Japan’s self-defense army to be dispatched to conflict and/or post-conflict zones under the name of international contribution? As a matter of fact, what vision we really need for our future depends on globalized economy and the increasingly high speed in the flow of money, people, goods and services. What kind of job do you have in the future? What do youbelieve important in your life? These are difficult questions but are the ones that should be thought out by knowing where you stand in the global context. Do you buy a chocolate bar for 100 yen at 100 Yen shop? Or do you pay 150yen for a chocolate bar in a “Fair Trade Shop”? Your choice may be different depending on the time and occasions. Yet, whatever choice you may make, it is a matter of value: what value do you consider important. In this sense, to open up yourself to world affairs is to rediscover yourself.
In my seminar, we will study why conflicts and wars happen, how to prevent conflicts and wars, and how to reconstruct post-conflict societies. Another area of study in my seminar is to think about how Muslim women can participate in society by adjusting themselves to a changing society that may have different values and practices than their traditions and cultural practices. Those who are interested in these issues are all welcomed to my seminar.
著書の紹介
宮治美恵子編・駒井洋監修
『中東・北アフリカのディアスポラ』 明石書店 2010年5月
第2部第2章「アメリカのイラン人」担当
中東・北アフリカ出身の人々が、世界各地にコミュニティをつくって暮らしています。どのようなコミュニティをつくっているか、もともとそこに住む人たちとどう共生しているのか、事例で紹介しています。
大坪滋・木村宏恒・伊藤早苗編
『国際開発学入門:開発学の学際的構築』 勁草書房 2009年12月
課題クラスター7「平和」編集、C7-1「平和構築とは何か」担当
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